冴島薫のブログ

塾講師です。

【高校入試】2018年 東京都立高校入試 数学 大問5[問2] ~立体の体積~

2018年 東京都立高校入試の数学。

全部で5つある大問の最後です。ここでは[問2]を解いていきます。

 

※ [問1]はコチラから!!

studyandjoy.hateblo.jp

 

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[問2]・・・ 立体の中にある三角錐の体積を求める

  体積や面積を求める問題というのは、以下のような考え方があります。

 

  ① 公式を使う (三角形なら「底辺×高さ×\frac{1}{2}」など)

 

  ② 大きな図形から余分なものを引いてあげる

 

  ③ いくつかに図形を分けてあとから足してあげる

 

  ④ 大きな図形の「何分のいくつ」なのかを確かめる

 

 ①は大丈夫だと思いますので、②と③と④について補足して説明をしましょう。

 

 は、例えば以下の図形のグレーの部分を求める時に使いますよね。

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  まず、図形の外側の円の面積を求めて、それから中にある白い円の面積を引くという方法です。

 

 は、以下のような図形の時に使えますね。

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  上の図形は五角形ですが、それを四角形と三角形に分けてから面積を計算して、後で足す、というやり方です。

 

 は、こんな図形の時に使います。

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  グレーの部分、つまり△CFEは四角形ABCDの\dfrac{25}{208}であることがわかるので、64\times\dfrac{25}{208}=\dfrac{100}{13}cm^2 となります。

 

 (\dfrac{25}{208}について → ここでは説明は省略します。例えば、\dfrac{5}{8}\times\dfrac{5}{13}\times\dfrac{1}{2}で求められます)

 

 

 

・・・さて、ここまで説明しておいて何ですが、ここでは①が使えるのではないでしょうか。

 

 図2を見てみましょう。

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 よーく見てみると、△ABDの面積って求められそうですよね?

 それで、△ABDを底面とすると、何となく高さって求められそうじゃないですか?

 

 とりあえず、この路線で考えてみましょう!

 考えやすいように図2を横に倒してみましょう。

 

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 はー、どっこいしょっと。  

 

 こうすると、さっき言っていたことの意味がより分かるのではないかと思います。

 まずは底面積、三角形△ABDの面積を求めてみましょう。「これは大丈夫だよ」という人も多いでしょうが、ゆっくり求めてみましょう。

 

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  上の図の底面にあたる正方形を書きました。△ABDの底辺をADとすると、高さはABと同じ長さになりますね。ですから、△ABDの面積は

9\times9\times\dfrac{1}{2}=\dfrac{81}{2}cm^2となります。

 

 さて、次は「高さ」です。

 

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  今から求めたいのは上の図の緑の線の長さです。

 これを求めるために、この緑の線を含む平面を抜き出してみましょう。

 

 (注:もう長さ分かるよという方もいるとは思いますが。。。キチンと求めていきます。)

 

 △ABC(△DEF)を平行移動したもので、点Pと同じ平面にある△GHIについて考えます。

 (要は上の図の水色の三角形です)

 

 相似な三角形が見えている人が多いと思いますが、GPやPIの長さ、もしくは辺の比がわからないとダメそうですねぇ。。。

 

 ここでは、GPの長さについて考えてみましょう。

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 △CFMに注目してみましょう。GP//FMなのは大丈夫でしょうか?

 △CFM∽△CGPというのもわかると思います。

 

 ここで、CP:PM=2:1なので、△CFMと△CGPの相似比は、3:2であることがわかります。

 (2:1ではないですよ!注意)

 

 ということは、GP = \dfrac{2}{3}MF であることがわかります。

 

 ここでMF = \dfrac{2}{3}\timesEFなので、(MはEFの中点です)

 

 GP = \dfrac{2}{3}MF = \dfrac{2}{3}\times\dfrac{1}{2}EF = \dfrac{1}{3}EF

  ここでEF=IGなので、GP=\dfrac{1}{3}IG となります。よって、GP:IG=1:3です。

 (色々と式を使って計算しましたが「GP:IG=1:3」がわかればOKです)

 

 ここで水色の三角形(△GHI)に戻ってみましょう 

 

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 (丸数字は比を表しています。Pから底面に下した垂線と底面との交点をQとします)

 

 △IPQ∽△IGHで、相似比は2:3なので

 PQ : GH = 2 : 3

 PQ : 9 = 2 : 3

 PQ=6㎝ となります。

 

 つまり、求める三角錐の高さが6㎝というわけですね。

 

  ここまで来れば、あとは公式を使って体積を求めるだけです。

 

 (三角錐の体積) = (底面積) × (高さ) × \dfrac{1}{3} なので

 \dfrac{81}{2}\times6\times\dfrac{1}{3}=81cm^2

 となります。 

 

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 途中、

  (注:もう長さ分かるよという方もいるとは思いますが。。。キチンと求めていきます。)

と書きましたが、実際の所、この問題は答えだけを解答用紙に書けばいいので、感覚的に高さがわかれば、必ずしも厳密に求める必要はないと思います。

 そこで時間を使うくらいだったら(というか、多くの場合時間がかかるので)、さっさと答えだけ求めるのもありかと。。。

 

 あまり詳しくは書きませんが、答えが整数だということはわかっているので、底面積がわかれば、高さは6の倍数だなということが予想できます。そうなると6㎝ではないかとなるんですね。。。

 

 都立入試はほとんどの問題がマーク式で答える問題ですが、それ故に問題が簡単に(厳密にいうと答えを求めるのが簡単に)なってしまっていますねぇ。。。